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ラノベヒロインの移り変わりは早い

「まぁ好きではじめた仕事ですから」

 最近は流行り廃りが激しいと彼女は口をこぼした。
 まず、最新のアニメ、漫画の入念なチェックから始まる。

「やっぱりいちばんうれしいのは読者からのファンレターね、この仕事やっててよかったなと」

「ひとりひとり読者の好みは違う。テンプレではできない」

 今日は作品の出演日。
 彼女は自分のキャラをオーソドックスなツンデレヒロインと決め、舞台に上がった。
 基本的な形は決まっているが、最近のユーザーの嗜好に合わせ多種多様なツンデレぶりをかまさなければならないのが辛いところ、と彼女は語る。

「やっぱ陵辱モノの同人誌はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「このツンデレはダメだ。ほら、すぐに主人公を殴ってしまう」

 彼女の目にかかれば、イラストを見るだけで出来不出来が分かってしまう。
 オタク立国日本、ここにあり。
 いま、いちばんの問題は後継者不足であるという。
 主人公に厳しい系のヒロインは人気が出ないとみんなゆるふわ系に走ってしまうという。
 3年前は何百人ものツンデレヒロインが軒を連ねたこの業界だが、いまではツンデレは彼女ひとりになってしまった。
 問題はツンをかまして反応を確かめるのに、5年はかかると匠は語る。

「自分が気持ちよいのももちろんだけど、ツンされる人はもっと気持ちよくないといけないね」
「もちろんツンする行為はひとつひとつわたし自身で試しています」

 ここ数年は、安易な魔王系に押されているという。
「いや、わたしは続けますよ。待ってる人がいますから――」
 下町ツンデレの灯火は弱い。だが、まだ輝いている。

「時々ね、わざわざ手紙までくれる人もいるんですよ。またラッキースケベでぱんつを見られて主人公を蹴飛ばしてくださいって。ちょっと嬉しいですね」
「遠くからわざわざツンを求めてこられるお客さんが何人もいる。身体が続くかぎり続けようと思っとります」
「やっぱねえ、ツンデレだからこその魅力ってあるんです。妹系や魔王系や残念系がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ」

 暴力系ヒロインは人気がでないとなり、一時はヤンデレ化することも考えたという。

「やっぱりアレですね、たいていの若い人はすぐやめちゃうんですよ。おなじ暴力ならカッターナイフで切りつけたほうが早いとか、愛してるって言ってから殺せば許されるとか……でもそれを乗りこえるやつもたまにいますよ。ほら、そこにいるニセ○イの桐○千棘がそう。そういうやつが、これからのツンデレ界を引っぱっていくと思うんですよね」

 最近では海外のツンデレニストにも注目されているという。
 額に流れる汗をぬぐいながら、
「本物に追いつき、追い越せですかね」
 そんな夢をてらいもなく語る彼女の横顔は職人のそれであった。

 今日も彼女は、日が昇るよりも早くツンデレの練習を始めた。
 明日も、明後日もその姿は変わらないだろう。

「か、勘違いしないでよね、ただちょっと、クッキー、作りすぎちゃったから……ただそれだけなんだからっ!」
「美味しいだなんて、そんなの当たり前でしょ? このわたしが作ったのよ?」
「……な、なによ、顔が赤いのは、そう、暑いから! ま、まさか、生まれて初めて作ったクッキーを美味しいって褒められて嬉しいからだなんて思ってるんじゃないでしょうね!」
「そうよ……初めて作ったのよ。わかってるんだから。そんな、コゲだらけのクッキーなんて、美味しいわけが……え? わたしが作ったものは、なんだって美味しい……? ば、バッカじゃないの! みんなにそういってるんでしょ、このチャラ男! チャラ介ー!」
(やっちゃった……わたしって、どうしていっつもこうなんだろう……)
「え? このあいだのクッキーのお返し? 映画なんて……ちょ、ちょっと待ちなさいよ! まだいかないなんていってないでしょっ!」
「し、しかたないから、だって映画のチケット代もったいないし、つきあってあげてもいいかも! ホントはとっても忙しいんだけど! だけど特別、こんどの日曜日、予定を空けてあげなくもない感じ! き、期待しないでよね! 当日、いきなりすっぽかす可能性だって微粒子レベルで存在してるんだから!(どうしよう! 服、買いに行かなくちゃ!)」
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プロフィール

西野かつみ

Author:西野かつみ
西野かつみ(にしの かつみ)



もの書き。男。
第1回MF文庫Jライトノベル新人賞で佳作受賞。
2005年10月25日、受賞作の「かのこん」でMF文庫よりデビュー。
2008年3月現在、気がついたら「かのこん」を10冊以上出してた! びっくり!
いまのところまだ続く予定。



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これはドラマCDとは違うんですが。
アニメにともなって放送されたネットラジオを収めたもの。
耕太役の能登さんとちずる役の川澄さんがあまりに仲が良くて、聴いてるとにまにましますぜ。

アニメの後日談的内容。
ちょっとえっちでちょっぴりおバカ。かのこんの本質をあらわした内容でございます。

かのこん1巻の内容を声で。
「ああん、耕太くぅん……」「はわわわわ、ち、ちずるさぁん」どうんだうん。
聴いているとなんかこう、身もだえてしまう。だれだ、こんな甘々らぶらぶちゅっちゅっちゅな話を書いたのは! ああ、わたしか! ごめん!
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