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ドラ子とノブタ・続々

「だ……だいじょうぶ……がんばれ、シャイ=アン! わたし、できる娘なはずだもん……落ちついて……深呼吸して……手のひらに人という字を書いて飲んで……あ、き、きた! ごくん!」

★  ★  ★

「あー……」
「お、おおお、おはよう、ノブタくん!」
「うー……う? ああ、シャイ=アン……おはよう……さわやかな朝ですね……ぶひー」
「ぜ、ぜんぜんちっともさわやかそうじゃないよ、ノブタくん!? ど、どうしたの?」
「見てのとおりの寝不足だよ……アイツのせいでさあ……」
「あ、アイツ!? アイツって……も、もも、もしかして、あの、ドラ子ちゃんの、こと……?」
「そうそう。アイツのせいで、昨日は大変だったんだ……」
「そ……そそそ、そんな! それってまさかいわゆるひとつの『アイツが激しくってさあ……寝かせてくれねえでやんの!』的な!? ふ、ふしだらだようノブタくん! いくら性的好奇心がいちじるしい年ごろだからって人ならぬものに手をだすだなんて! いってくれればわたし、患者役ぐらい、いつでも務めたのに!」
「あのドラ公のひみつ道具が、まーた暴走しちゃってさあ……なんと、オヤジの数が七人に」
「先生ぇ、なんだかわたし、おまたがヘンなのお……え? オヤジ?」
「そうそう、おかげで七人のナナ……え? おまた?」
「な、ななな、なんでもないよ、ノブタくん! ノブタくんのお父さんが、どうしたの!?」
「だから、七人に増えて……これからどうするかっていうので揉めに揉めて」
「そ、それで……? どうなったの……?」
「まあ、稼ぎ手が七人いるんなら収入も七倍になるわけだし、とりあえずこのままでいいかと。家族会議の結果」
「現状維持!?」
「オフクロも、七人ぐらいなら、まあ、淡泊だし、かえってちょうどいいわ……なんてことをもうしまして」
「ご、ごめん、ノブタくん、わたし、よくわからない……」
「オレもよくわからない。ということにしておいた。いやあ、昨夜のお父さんはワイルドセブンだったわあ、とかいわれても。ねえ?」
「夜の……ワイルドセブン……」
「ウルトラセブン的な? いや、ウルトラソウル……ハイ!」
「そ、それで、昨日は朝まで……?」
「いいや。家族会議自体は真夜中で終わったんだけど、それからがまた、語るも涙、聞くも涙でして。あのバカネコ……」
「――おっと! ノブタくん、そこから先は禁則事項シュビドゥバーだよ!」
「きゃっ!?」
「どぅわ!? ど……ドラ公! おまえ、他人様の家の屋根でなにやってやがる!」
「ネコが家の屋根に登るのはこれ、当たり前だにゃー! そんなことよりノブタくん! あの夜のことはぼくとノブタくんとのヒミツだって約束したじゃない! ってゆーかあのことがほかにバレたらぼくの身が危ないんだよ! どうするんだいタイムパト公に見つかったら!」
「見つかるのが嫌ならそんな目立つ真似をするな。屋根の上から大声だすもんだから、ほら、見てみろ。近所の人たちが集まってきちゃったじゃないか。おまえの行いで苦情が来るのはウチなんだぞ」
「だいじょうぶだよノブタくん。ママさんは昨夜のパパのワイルドセブンですっかり日頃の欲求不満が解消されてハッピーハッピーだから。まったく、ぼくのひみつ道具は人を幸せにするなあ!」
「昨日の夜は危うく世界を滅ぼしかけたけどな」
「だから、しー! しー! ヒミツだって!」
「あ、あの、ノブタくん……? 世界を滅ぼしかけたって……?」
「ああ、昨日さあ、ほら、金曜ロードショーでまたナウシカやってただろ? それを見て、クシャナ姫ごっこがしたいとかいいだしてさあ……巨神兵を作りだして」
「……きょしんへい?」
「それからが大変で……リアル火の七日間が……」
「いやはや、発達しすぎた文明は、人を滅ぼすんだねえ!」
「他人事のようにいってんじゃねえよバカネコ! てめえが滅ぼしたんじゃねえか」
「で……でもでもでもでも! ノブタくんにドラ子ちゃん!? 世界はほら、こんなにも美しいのに!?」
「もしもケータイに感謝してくれ」
「え」
「おっと、ノブタくん。あのもしもケータイはぼくが違法改造してるからあんなにすごい効果を発揮したんだよ? ノーマル状態ならとてもとても、世界を元どおりになんてできなかったはずさ」
「エントロピー的に、絶対どこかにしわよせがいってると思うけどな」
「まあいいじゃないかノブタくん。どこぞの惑星が消滅したところで、ぼくたちは痛くも痒くもないし」
「え? え? え?」
「ほら、ノブタくん……知らなくてもいい事実を知ってしまったせいで、シャイ=アンちゃんが困惑してるじゃないか。キミが余計な知恵の実を与えてしまったせいだよ! やーいやーい、この毒蛇ー」
「あ。あれって……もしかしてタイムパトロールじゃね?」
「にゃ!? にゃー! すたこらさっさー!」
「……ふん。すこしは反省しやがれってんだ。ああ、シャイ=アン。ごめんな。あのバカネコのいうとおり、ちょっと余計なことを喋りすぎたみたいだ。できれば忘れてくれ」
「う……うん。努力、してみる……難しいと思うけど……」
「ですよねー」
「で、でも、努力するから! わたし、頑張るから!」
「まあ、あまり無理しないでな。じゃ、いこうぜ、学校。あのバカネコのせいでだいぶ遅れた……このままじゃ遅刻しちゃうよ、遅刻」
「うん……」
「ん? なんか暗い顔だな? だいじょうぶだよ、もし本当にタイムパトロールがやってきたとしても、捕まるのはオレとあのバカネコぐらいなものだから」
「だ、ダメ! そんな、ドラ子ちゃんはともかく、ノブタくんは!」
「お……おう。なるべく、捕まらないように努力してみる……」
「うん!」
「が、頑張ります……」
「あ……そ、そうだ、ノブタくん。今日、なんの日か、知ってる……?」
「今日? 今日は、えーと、2月14日で……なんだっけ?」
「な、なんだっけって、今日は、えっと……あれ? なんだっけ……?」
「だろ? べつになにか特別な日ってわけじゃないだろ?」
「そ……そうだね……あれ? あれれ? でも、あれ? なにか……今日は……女の子にとって、大切な日だったような……あれ?」
「ほら、早く学校にいこうぜ!」
「う、うん! ……あれー? このチョコレートは、いったい……?」

★  ★  ★

もしもケータイのしわよせ的にね、某イベント消失みたいなね。
ちなみにわたしはエントロピーやら熱力学第二法則やら、よくわかっておりません!
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プロフィール

西野かつみ

Author:西野かつみ
西野かつみ(にしの かつみ)



もの書き。男。
第1回MF文庫Jライトノベル新人賞で佳作受賞。
2005年10月25日、受賞作の「かのこん」でMF文庫よりデビュー。
2008年3月現在、気がついたら「かのこん」を10冊以上出してた! びっくり!
いまのところまだ続く予定。



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三等身のSDキャラがかわいいの。

まんがで読むといろんな意味で威力倍増。
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ドラマCD
これはドラマCDとは違うんですが。
アニメにともなって放送されたネットラジオを収めたもの。
耕太役の能登さんとちずる役の川澄さんがあまりに仲が良くて、聴いてるとにまにましますぜ。

アニメの後日談的内容。
ちょっとえっちでちょっぴりおバカ。かのこんの本質をあらわした内容でございます。

かのこん1巻の内容を声で。
「ああん、耕太くぅん……」「はわわわわ、ち、ちずるさぁん」どうんだうん。
聴いているとなんかこう、身もだえてしまう。だれだ、こんな甘々らぶらぶちゅっちゅっちゅな話を書いたのは! ああ、わたしか! ごめん!
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